レアアースを使わないEVというテスラのビジョンが磁石の競争に拍車をかける

将来のモデルからレアアースを除去するというテスラの野心は、この分野のメーカーを動揺させているが、現在その材料に依存している電気自動車モーターの代替品を提供する世界的な取り組みも促進するはずだ。

モデル3とモデルYのパワートレインはすでに重希土類の消費量を4分の1削減しており、テスラの次期駆動ユニットには材料を一切使用していない永久磁石モーターが搭載されているとパワートレインエンジニアリング担当副社長のコリン・キャンベル氏が会見で述べた。今月初めの同社の投資家デー。

自動車メーカーはコストを削減し続け、環境や健康上のリスクを伴うプロセスを回避し、激しい価格変動の影響を最も受けやすい商品への依存を減らすことを目指している。

携帯電話から風力タービン、戦闘機に至るあらゆるものの磁石に使用されるレアアースは、予測不能な価格と中国のサプライチェーンに対する厳しい支配のため、自動車メーカーやクリーンエネルギー分野にとって長い間悩みの種となってきた。 中国は採掘の約3分の2、原料精製の85％を占めている。

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中国への依存のリスクは、中国の輸出削減決定で価格が急騰した2010年や、米国との貿易摩擦で出荷が再び制限されるのではないかとの憶測の中で2019年と2020年に浮き彫りになった。

BMW、トヨタ、ゼネラルモーターズなど他の自動車メーカーもレアアースへの依存を削減しようと努めている。

JLマグ・レアアースや江蘇華紅科技株などの生産会社の株はキャンベル氏のコメント後すぐに売られ、中国国外最大の素材生産会社であるライナス・レアアースは今月約4分の1下落した。

ロンドンに本拠を置くコンサルタント会社プロジェクト・ブルーの創設者、ニルス・バッケバーグ氏は、レアアース永久磁石のサプライチェーンにおける多様性の欠如は「重要な材料の地政学における業界の主要な懸念事項である」と述べた。 「パフォーマンスや効率性は重視されないものの、より安価なテクノロジーの使用がさらに普及する可能性があります。」

ロンドンに本拠を置くコンサルティング会社ロー・モーションのシニア・リサーチ・アナリスト、ウィリアム・ロバーツ氏によると、代替案の1つは鉄でできており、バリウムやストロンチウムなどの材料を混合したフェライト磁石かもしれない。フェライト磁石はより広く入手可能で安価だという。

GMは以前にもこれらを使用しており、日本に本拠を置くプロテリアルは12月、レアアースを使用した部品の性能に匹敵するフェライト磁石を使用したモーターを開発したと発表した。

ミネアポリスに本拠を置き、ボルボと提携しているナイロン・マグネティックスは昨年、窒化鉄ベースの技術を使用したレアアースフリー磁石の研究拡大を支援するために、米国エネルギー省から1,750万米ドル（2,800万ニュージーランドドル）の助成金を獲得した。

ケンブリッジ大学とオーストリアの研究チームは、昨年発表した研究論文で、希土類磁石の代替品となり得るテトラテーナイトの新しい製造方法を発表した。

調査会社アダマス・インテリジェンスは、フェライト磁石がテスラの技術革新の最も可能性の高い候補であるが、この技術は伝統的に「重量や効率に大きなペナルティ」を伴うため課題に直面しているとメモで述べた。

既存のレアアースベースのモーターシステムにも効率の実績があり、電気自動車や再生可能エネルギーにおけるこの材料の需要は急増すると予測されています。

アダマス氏は、2022年に約38億ドルの磁石希土類酸化物がエネルギー転換関連用途で消費され、その額は2035年には360億ドル以上に達すると予測している。

ブルームバーグ